京都には、地元の食通やグルメメディアの間でじわじわと評判が広がり、常に予約が取りにくい人気店が数多く存在します。観光客向けのガイドブックには載っていなくても、京都に暮らす人たちが「特別な日」に選ぶ店。そんな知る人ぞ知る名店ほど、実は予約のハードルが高いものです。
この記事では、京都在住スタッフが実際の営業情報・予約方法を確認しながら、予約必須の名店を5軒厳選してご紹介します。懐石、京町家の割烹、鴨川の納涼床、持ち帰り専門の助六寿司まで、ジャンルも予約のルールもさまざまです。訪問前にはかならず最新の営業時間・定休日を公式サイトや電話でご確認のうえ、余裕を持って予約をしてから足を運んでください。
お断り:飲食店の営業時間・料金・予約方法は変更されることがあります。本記事の情報は執筆時点(2026年9月)で確認できた内容にもとづいていますが、最終的な判断は必ず各店舗への直接確認をおすすめします。
目次
■京都の「予約文化」を知っておこう
■京 上賀茂 御料理秋山
■料理屋 うしのほね 本店
■余志屋
■万里小路 中村屋(助六寿司専門店)
■枝魯枝魯ひとしな
■インバウンド旅行者向け・予約のコツ
■まとめ
■京都の「予約文化」を知っておこう
京都の名店の多くは、電話のみで予約を受け付けている店が少なくありません。
オンライン予約サイト(一休.comレストラン、TableCheck、ホットペッパーグルメなど)に掲載されている店もありますが、掲載されていても「電話予約のみ」「当日枠のみネット掲載」というケースもあり、確実に予約を取りたいなら電話が最も早い場合が多いのが実情です。
海外からの旅行者にとっては、日本語での電話予約がハードルになることもあるでしょう。宿泊しているホテルのコンシェルジュに代行を依頼する、または後述する予約サイトを活用するのがおすすめです。
■京 上賀茂 御料理秋山|古民家で味わう、予約至難の懐石
上賀茂神社にほど近い、閑静な住宅街にひっそりと佇む「京 上賀茂 御料理秋山」。
昭和11年(1936年)にこの地へ移築されたと伝わる、築約90年の古民家を改装した店内には、囲炉裏やおくどさん(かまど)が配され、どこか懐かしい空気が流れています。
腕を振るうのは、名店「京都吉兆」「花吉兆」で13年間修業を積んだ店主・秋山直浩氏。「カウンター越しにお客様と顔を合わせ、会話をしながら料理をしたい」という思いから、2006年に独立・開業しました。
北区・鷹峯周辺で契約農家が育てる京野菜と、明石産の魚を主軸に、素材の組み合わせや出汁使いに独自のセンスが光ります。岐阜の契約農家から取り寄せた米を、必要な分だけ都度精米しておくどさんで炊き上げる白ご飯や、黒米を使ったお粥、食後に囲炉裏端でいただく抹茶まで、一期一会のもてなしが京都の食通たちを惹きつけてやみません。
予約について
全国屈指の「予約の取れない店」として知られ、完全予約制・電話予約のみです。予約したい月の前月1日10時から受付が開始されます(例:12月分を予約したい場合は11月1日10時から)。1日が定休日にあたる場合は、翌営業日が受付開始日となります。
夜の懐石はとりわけ予約が取りづらいとされる一方、昼席や1名利用は比較的空きが出やすいとの情報もあり、キャンセル待ちを申し出ることで直前に席が確保できることもあるようです。狙い目を探している方は、まず昼の部や少人数枠から問い合わせてみるとよいでしょう。
〇京 上賀茂 御料理秋山
住所:京都府京都市北区上賀茂岡本町58
電話:075-711-5136(完全予約制・電話のみ)
営業時間:昼 12:00〜14:30(L.O.12:30)/夜 18:00〜22:00頃
定休日:水曜日、月末の木曜日
アクセス:京都市営地下鉄烏丸線「北山駅」から徒歩約15分(市バス「上賀茂小学校前」等からも徒歩数分)
※料理はおまかせコースのみ。訪問前に必ず電話で最新の予約可否・営業時間をご確認ください。
■料理屋 うしのほね 本店|鴨川を望む納涼床と、名物ビーフシチュー
先斗町の路地を鴨川側へ入った場所にある「料理屋 うしのほね 本店」。
1985年の創業以来、自家製豆腐や、牛骨からじっくり煮出したフォンドヴォーを使う名物「うしのほね風シチュー」など、変わらぬ人気メニューを守り続ける和食店です。和モダンな店内の窓からは鴨川を望むことができ、お座敷や個室でゆったりと食事を楽しめます。
京都産の旬野菜や大原直送の野草、伊勢の鮮魚、京都ブランドの牛肉・豚肉などをアラカルトで気軽に味わえるのが魅力。日本酒・ワインの品揃えも豊富で、ソムリエや利き酒師が厳選した一本を合わせられます。
夏の風物詩・納涼床
京都の夏の風物詩である鴨川の「納涼床(のうりょうゆか)」は、例年5月1日〜10月15日ごろの営業。床席のディナーコースは7,500円〜、看板メニューのシチュー付きコースも用意されています。納涼床は季節限定・天候にも左右されるため、開催期間や当日の営業有無は事前に店舗へ直接ご確認ください。
予約について
人気店のため、特に週末や納涼床シーズン(初夏〜秋)は事前予約が強くおすすめされます。一休.comレストランなどのオンライン予約にも対応していますが、混雑期は電話予約のほうが確実な場合もあります。
〇料理屋 うしのほね 本店
住所:京都府京都市中京区先斗町三条下ル若松町137-12
電話:075-212-1023
営業時間:昼 12:00〜13:00頃(L.O.)/夜 17:00〜23:30頃(L.O.23:00〜23:30)
※納涼床期間は営業時間が変動
定休日:不定休
アクセス:京阪本線「三条駅」から徒歩約5分、京都市営地下鉄東西線「三条京阪駅」から徒歩約5分
HP:https://www.ushinohone.com/
※営業時間は季節・曜日により変動するため、訪問前の確認をおすすめします。
■余志屋|先斗町の路地奥、60年以上続く正統派割烹
先斗町の細い路地をさらに奥へ進んだ突き当たりにある「余志屋(よしや)」。
1960年(昭和35年)の創業から60年以上、地元の食通たちに愛され続ける正統派の割烹料理店です。二代目主人・川那辺行繁氏が腕を振るい、釜飯や一品料理を中心に、山海の幸や京都の旬の食材を使った料理をおまかせ・一品・コースで味わえます。
秋茄子の胡麻和え、お造り、若狭ぐじの塩焼き、鴨ロース、生麩の入った野菜あんかけなど、派手さはないものの、じんわりと心に染みる味わいが評判です。川那辺氏は複数の著書も出版する京都でも著名な料理人ながら、気さくな人柄でカウンター越しの会話も楽しめると、常連客から支持されています。
予約について
隠れ家的な立地のため、Googleマップだけでは辿り着きにくいこともありますが、それも含めて先斗町らしい風情として楽しめるお店です。予約は電話のみの受付となります。満席になりやすい人気店のため、訪問希望日が決まったら早めの連絡をおすすめします。
〇余志屋
住所:京都府京都市中京区先斗町通三条下る材木町188
電話:075-221-5115(電話予約のみ)
営業時間:17:00〜23:00(L.O. 22:30)
定休日:月曜日(不定休あり)
アクセス:京阪本線「三条駅」から徒歩約5分、阪急京都線「河原町駅」から徒歩約10分
■万里小路 中村屋(助六寿司専門店)|伏見稲荷大社御用達、完全予約制の持ち帰り助六
京都市左京区、出町柳・百万遍エリアの静かな路地にひっそりと佇む「万里小路 中村屋(まりこうじ なかむらや)」。1954年創業、伏見稲荷大社の社務所御用達としても知られる、持ち帰り専門の助六寿司店です。歌舞伎の南座での「楽屋見舞い」としても長年用いられてきた、京都花街・伝統芸能の世界とゆかりの深い名店でもあります。
酢や醤油には京都地産の調味料を使い、生ものは一切使わない精進仕立てで、稲荷寿司・新香巻き・胡瓜巻きが看板商品。小ぶりに握られた稲荷寿司は、黒砂糖と溜まり醤油を使ったコク深い甘さとほんのりとした控えめな酢加減が特徴で、幅広い世代に親しまれています。醤油をつけずに食べられるため手が汚れず、ハイキングのお弁当や上品な手土産としても人気です。
なお、3月3日・4月4日など「ゾロ目の日」限定で、蓮根や山椒、おあげを混ぜ込んだ非売品扱いだった「ちらし寿司」も数量限定で販売されることがあります(要事前予約)。
看板が目立たず、一見すると普通の民家のような外観のため、初めて訪れる際は住所をしっかり確認しておくと安心です。
予約について
ご注文は前日(もしくは3日前)までの完全予約制で、当日の飛び込み購入はできません。仕込み状況によっては対応できない場合もあるため、余裕を持って予約することをおすすめします。
〇万里小路 中村屋
住所:京都府京都市左京区万里小路今出川上ル
電話:075-781-4048(つながらない場合は075-702-0464)
営業時間:10:00〜17:00
定休日:不定休
アクセス:京阪出町柳駅から徒歩約5分
HP:https://nakamurayasukeroku.com/
■枝魯枝魯ひとしな|「くずし割烹」のパイオニア、外国人観光客にも人気
清水五条駅から徒歩約5分、高瀬川沿いの風情ある路地にある「枝魯枝魯(ぎろぎろ)ひとしな」。2002年9月の開業以来、「日常使いできる日本料理」をコンセプトにした“くずし割烹”のパイオニアとして知られる人気店です。京都のほか、東京、ハワイ、パリにも展開しており、パリ店は現地でも予約困難な人気店として知られています。英語対応可能なスタッフが在籍することもあり、外国人観光客からの支持も厚い一軒です。
提供されるのはコースメニューのみで、内容は月替わり。一度提供した料理は二度と出さないというこだわりのもと、白魚の天ぷらや玉子豆腐、ホタルイカやサクラマスのお造りなど、旬の食材を活かした創作和食を、風情ある器で楽しめます。手頃な価格帯(お一人様6,000〜8,000円程度が目安)ながら本格的な内容が味わえるとあって、日本人はもちろん世界中の観光客から高い人気を集めています。
予約について
コースのみの提供で席数も限られているため、予約は必須です。当日でも運良く空きが出て入店できたという声もありますが、基本的には事前予約を強くおすすめします。近年は直前キャンセルや無断キャンセルが増えていることから、予約サイトによってはキャンセルポリシーが明記されている場合もあるため、予約時にあわせて確認しておくと安心です。
〇枝魯枝魯ひとしな
住所:京都府京都市下京区西木屋町通松原下ル難波町420-7
電話:075-343-7070
営業時間:17:30〜23:00頃
定休日:不定休
アクセス:京阪本線「清水五条駅」から徒歩約5分
■インバウンド旅行者向け・予約のコツ
海外から京都を訪れる方がこうした人気店を予約する際に、知っておくと役立つポイントをまとめました。
- 電話予約が基本の店が多い
今回紹介した5軒のうち、御料理秋山・余志屋・中村屋は電話予約のみが基本です。日本語での電話に不安がある場合は、宿泊先のホテルスタッフやコンシェルジュに代行を依頼するのが確実です。 - オンライン予約サイトが使える店も
うしのほね本店や枝魯枝魯ひとしなは、一休.comレストランなどのオンライン予約に対応していることがあります。多言語対応のサイトもあるため、まずは検索してみる価値があります。 - キャンセルポリシーを必ず確認
懐石料理店など、コース仕立ての店は無断キャンセルへのペナルティ(代金100%請求など)を設けているケースが一般的です。日時変更が必要になった場合は、早めに連絡を入れましょう。 - 「予約の取れない店」ほど早め行動を
御料理秋山のように受付開始日が決まっている店は、当日の朝から電話が集中します。旅行日程が確定したら、早めにスケジュールを組んでおくのがおすすめです。 - 1名利用やランチは狙い目
夜のコースは予約困難でも、ランチや少人数利用は比較的空きが出やすい傾向があります。柔軟に時間帯を検討してみましょう。
■まとめ
今回ご紹介した5軒は、いずれも京都の食通や観光客から高い支持を集める、予約必須の名店です。完全予約制で受付開始日が決まっている店、当日でも運が良ければ入れる可能性がある店、前日までの予約が必要な持ち帰り専門店など、店によって予約のルールはさまざまです。せっかくの京都旅行、事前準備をしっかり整えて、忘れられない一皿に出会ってください。
※本記事の営業時間・料金・予約方法は変更される場合があります。最終的なご予約・ご来店前には、必ず各店舗の公式サイトまたはお電話にて最新情報をご確認ください。
