7月の京都と言えば祇園祭!この時期しか手に入らない和菓子とは?

KYOTREAT編集部
日増しに暑さが厳しくなり、京都に夏がやって来ました。7月になると、京都の街は祇園祭一色になります。
2022年は、山鉾巡行や露店も復活し、コロナ禍前のような盛り上がりが期待できそうですね。
そこで今回は、祇園祭にちなんだ和菓子をご紹介します!

目次

年に一度しか食べられないお菓子:行者餅

名づけ親は八坂神社の宮司さん:したたり

白味噌を使った風雅なお菓子:祇園ちご餅

■まとめ

■年に一度しか食べられないお菓子:行者餅

最初のお菓子は、東山安井にある1806年創業の老舗「柏屋光貞」さんの「行者餅」です。
年に一度、7月16日(祇園祭の宵山の日)にのみ販売される白味噌を使ったお菓子で、その名は「行者餅」。
1806(文化3)年、京の街に疫病が流行しました。その際、「柏屋」の4代目が山伏として修行していた時に見た夢のお告げ通り、行者の衣を模した菓子を作りました。
それを祇園祭の山鉾“役行者山(えんのぎょうじゃやま)”にお供えして、周りの人々にも配ったところ、その人々が疫病から逃れたのだとか。
それ以来このお菓子は「行者餅」と命名され、1年に一度、山鉾巡行の前夜すなわち宵山1日のみ販売されています。(2017年より予約制でなく、当日販売のみとなりました。)
筆者が以前購入した際は10時頃から行列に加わったのですが、約1時間半後にようやく5ヶ入2箱を入手できました!

白味噌餡と求肥餅がクレープ状の皮で包まれており、ソフトな生地の中の白味噌餡は、味噌の豊かな風味・コクがあります。そこに山椒のスパイシーさがピリリと効いているので、最初の一口目はかなりビックリしました(笑)。
トロリとして、餡というよりは白味噌ダレというべきでしょうか。口の中全体にふわりと風味が広がります。
この貴重なお菓子は、無病息災を願う人々にこの先何十年も何百年もずっと買い求められ、受け継がれていくのでしょうね。

ちなみに柏屋光貞には、もう1つおすすめしたいお菓子があります。それは「おおきに」。某アイドルグループが紹介し、一時期ネット上でもすごく話題になりました!
すり蜜琥珀のお菓子で、外はシャリッとした食感ながらも、中はもっちり!
食べたことのない食感で、みずみずしさが口の中でゆっくりとほどけていきます。
白・茶・黄緑・ピンクの全4色。茶色は黒糖味で、コクがありまろやか。黄緑は爽やかな柚子の香りをまとっており、ピンクにはベリー系の風味を感じました。
凍らせて食べると、シャリッとひんやりしてまるでシャーベットのようでした。かわいらしいカラーリング、そして唯一無二の食感と風味。大人気の所以がよーくわかります。

・店名:柏屋光貞
・住所:京都府京都市東山区毘沙門町33-2
・電話番号:075-561-2263

■名づけ親は八坂神社の宮司さん:したたり

次のお菓子は、亀廣永の「したたり」です。亀廣永さんは、烏丸御池に店を構える創業200年以上の老舗和菓子店。

「人とのつながりを大切に」という先代の想いを継承し、商品の発送は行わず、現地でのみ販売しています。
こちらで干菓子と共によく知られているのが「したたり」。1970年頃、祇園祭の山鉾の一つである菊水鉢の茶席に献上される為に考案された棹物です。

菊水鉾は中国の故事「菊慈童」にちなんで作られた鉾で、菊の露の「したたり」を呑んで700歳の長寿を保ったことから、不老長寿の菊水にもちなんだ鉾と言われています。菊の葉からしたたり落ちる薬水のイメージから、八坂神社の宮司さんにより菓銘がつけられたそうです。

名水「菊水の井」の清涼なしずくをイメージして作られており、沖縄産の黒砂糖、上質なざらめ、阿波産の最高級の和三盆、コシの強い丹波の寒天などシンプルながらもこだわり抜かれた材料を使われています。
涼しげな見た目、ふわりと広がる黒糖の自然な甘み、口の中でほどけていく寒天の食感が特徴的です。

・店名:亀廣永
・住所:京都府京都市中京区 蛸薬師上ル和久屋町359
・電話番号:075-221-5965

■白味噌を使った風雅なお菓子:祇園ちご餅

最後のお菓子は堀川三条の三條若狭屋本店さんの「祇園ちご餅」です。

京菓匠 三條若狭屋さんは、明治26年から京都で和菓子をお作りになっている京菓子の老舗で、その代表銘菓が「祇園ちご餅」です。京都には、白味噌を使った和菓子が数多くありますが、こちらもその代表格。
白味噌ダレをやわらかな求肥で包み、氷餅をまぶし竹串に刺したお菓子です。3本が1つの包みに入れられ、赤・白・黄の3色の短冊が施された様は、祇園祭りの壮麗な雰囲気をイメージさせてくれます。
昔祇園祭には、6月1日に社参という、稚児の御位貰い儀の行列がありました。八坂神社の帰り楼門の茶店で稚児が一同に味噌だれをつけた餅と飲み物を振舞ったところ、そのちご餅が厄を除き福を招くと伝われ洛中の評判になったのだとか。
大正初期にお稚児さんのお世話をしていた同店の二代目主人がこの餅の事を知り、それに創意工夫をこらし、祇園ちご餅を創りあげたのだそうです。

鉾をモチーフにしたBOX入りのものもあり、祇園祭気分が味わえるので、ちょっとしたギフトにもいいですね。
いただいてみると、ふんわりとした口当たりの求肥を少し噛むと、白味噌の濃厚なコクが口いっぱいに広がります。
程よい甘さと味噌の風味の余韻が続き、なんだかやさしい気持ちになりました。老若男女に長きに渡り愛され続ける理由が分かった気がしました。
こちらのお店のもう1つのおすすめは、「くるみいた」という胡桃を練り込んだ麩焼きの煎餅に、白味噌砂糖をかけたお菓子です。バターも少し入っているので、麩焼きせんべいのサクっと食感に、少しだけリッチな味わいが加わり、あとを引く美味しさなので、チェックしてみてくださいね。

・店名:三條若狭屋
・住所:京都市中京区三条通堀川西入ル橋西町675
・電話番号:075-841-1381

・HP:http://www.wakasaya.jp/

■まとめ

気になったものはありましたか?今年は、様々な和菓子で祇園祭気分を楽しんでみてくださいね。