京都の新年は○○で始まる?

KYOTREAT編集部

2021年も残すところあとわずかですね。京都の街では、おせちやお正月飾り、ポチ袋など、新年を迎えるための商品があちらこちらで見られるようになりました。今回は、お正月を京都で過ごす方にぜひ召し上がっていただきたい2つの食べ物をご紹介します。

京都のお雑煮とは?

京都でお雑煮を召し上がったことはありますか?京都のお雑煮は白味噌ベースで丸餅入り。具材は頭芋と大根が定番で、 丸餅は円満と長寿を願い、頭芋は子孫繁栄・立身出世。大根は、丸く切れば円満を意味し、亀甲型に切れば長寿を意味します。お雑煮は、歳神様に捧げるものなので、生臭いものを避けるため、基本的には昆布だけでお出汁を取り、鰹節は食べる前にふりかけます。

一般的に味噌の塩分濃度は10~12%程度のものが多いのですが、西京味噌と呼ばれる京都の白味噌の塩分はおよそ5~7%で、高級品の中には麹の量を多くし、塩分量4%以下という極甘口のものもあります。その甘い味噌をドロリとするまでたっぷり使います。見た目は、まるでポタージュ!このお雑煮を初めて食べた他府県の方は決まって「甘いんだね~」と言いながらにっこり微笑みます。

そして京都人には、それぞれ好みの西京味噌があるんです。「白味噌なんてそんなに変わらないのでは?」と思われるかもしれませんが、麹の量や種類、熟成期間や塩分濃度などにより味わいが大きく変わってきます。よく知られているところでは、山利商店に石野味噌、本田味噌、関東屋あたりでしょうか?中でも山利の味噌は、有名料亭や有名和菓子店、茶道の三千家御用達。厳選された米で作られた麹と大豆と塩だけで作られ、上品で深い味わいが醸し出されています。

デパートやスーパー、錦市場などで手に入るので、各メーカーの西京味噌を食べ比べ、お好みの味を見つけてみるのも楽しいですね。WEB上に色々な白味噌レシピが紹介されているので、お料理の幅も広がるかもしれません。

そして、京都を旅する方にお伝えしたいことが!この白味噌雑煮、以下のお店でいただくことができるんです!

・志る幸(京都市下京区西木屋町四条上ル真町100)

・喜み家(京都市左京区浄土寺上南田町37-1)

・一条寺 中谷(京都市左京区一乗寺花ノ木町5)

・虎屋茶寮 一条店(京都市上京区一条通烏丸西入ル)

私が特におすすめしたいのは「志る幸」さんです。

こちらは、味噌汁専門店。尊王攘夷派志士を新選組が襲撃した池田屋事件のきっかけを作った古高俊太郎の邸宅跡という、幕末好きにはたまらないロケーション!内装も京都感アリです。

1年中おいしいお味噌汁がいただけるのですが、12月~2月頃は、お雑煮もあり、しっかりとしたお出汁とコクのあるクリーミーな白味噌のハーモニーがたまらない逸品です。

花びら餅ってな~に?

そして、京都にはお正月を代表する和菓子があります。

京都で和菓子と言えば、近年出町ふたばさんの「豆餅」が全国区で知られるように。人気にさらに拍車がかかり、今年は葵祭でも知られる葵橋のたもとまで行列が伸びている光景も見られました!「阿闍梨餅」もお土産として人気ですよね。

しかしお正月と言えば花びら餅です。江戸時代、正月に使われたひし形の餅や丸餅、汁のない包み雑煮がひとつになったというコンセプトのお菓子なので、味噌が使われごぼうが入っていて、お餅でくるまれているんです。

川端道喜さんの「御菱葩」

毎年12月1日より電話予約を受け付けており、あっと言う間に締め切りとなるので、おそらく今年はすでに入手困難ですが、濃厚な白味噌餡のトロリとしたテクスチャーは他の花びら餅にはない美味しさ。ぜひ来年以降召し上がってみてください。

他の和菓子店の花びら餅も、形、お餅の素材や白味噌のメーカー、餡の硬さやごぼうの本数など、ありとあらゆる要素がかなり異なるので、毎年違いを楽しんでいます。

上:長久堂、左:鶴屋鶴壽庵、右:亀屋吉永

西京漬けやあぶり餅、味噌松風など白味噌を使った食べ物はたくさんあれど、お正月は1年の中でも最も白味噌を口にする季節。お正月を京都で過ごすなら、お雑煮と花びら餅を召し上がり、五感で京の正月をお祝いしてみてはいかがでしょうか?