ここ数年、「発酵食品」と言う言葉を耳にすることが多くなりました。
発酵食品とは、食材を微生物などの作用で発酵させることによって加工した食品です。大豆、米、麦、魚、肉などの原料に含まれるタンパク質やデンプン質を、細菌、麹カビ、酵母菌といった微生物が分解することで、アミノ酸やグルタミン酸、アルコール、乳酸等が作られます。
甘酒や塩麴が爆発的に流行りましたが、その後コロナ禍となり、腸内環境を整えてくれる発酵食品が健康に良いということも相まって、ヨーグルトや納豆など様々な発酵食品に脚光が集まりました。
ポテトチップスに麹塩を使ったものや、レモンサワーに麹が入ったものなど、発酵食品がぐんと身近になってきています。
そんな中、京都の街にも発酵食品を使ったお料理がいただけるお店がどんどん増えています。
今回は、個性あふれる6つのお店をご紹介しましょう。
目次
■発酵食堂 カモシカ
■発酵カフェ Haccomachi
■茶と糀 つきあかり
■京の発酵イタリアンCAMOS
■納豆創作料理 夏豆
■梅小路醗酵所
■発酵食堂 カモシカ
トップバッターはJR嵯峨嵐山駅北口から歩いてすぐの場所にある「発酵食堂 カモシカ」です。
オーナーの「予防=本質的な食=発酵食をベースにした伝統的和食」にあるという考えをベースに、「命は命で元気になる。」をメッセージとした食事・スイーツが提供されています。
看板メニューは「発酵8種定食」で、ごはん・京白味噌のお汁・旬の発酵8種盛・自家製ぬか漬け・厳選 阿波晩茶という内容。おあげの上のあんは、麹納豆あんかニンニク醤油あんのいずれかをセレクトできます。
麹納豆はこく深い甘みがあり、おあげの大豆の風味とベストマッチ!
鯖のへしこ、ふぐの子の卵巣のぬか漬けなどちょっと珍しい発酵食品で白ご飯がどんどん進みます。
お出汁がしっかり効いた白味噌のお味噌汁に癒されました。
善玉菌をたくさん摂り入れられるのがうれしいですね。
食事以外に、スイーツを楽しむこともできます。
阿波番茶付の「カモシカのパフェ」は季節替わりで、冬の時期は「は甘酒チョコパフェ」がいただけます。
使われているのは、甘酒チョコアイス・甘酒ラムアイス・コーヒーゼリー・甘酒練乳・酒粕プリッツと、発酵食材がてんこ盛り★やさしい甘みでココロも体も喜ぶパフェです。
そして、すぐ近くにはカモシカオリジナルの食品やグッズが買える「発酵マルシェ」もあります。
食堂の看板メニューである「麹納豆」や「ぬか床」、お湯を注ぐだけで美味しいお味噌汁が出来上がる、カモシカの手前味噌を使った「味噌玉」などが看板商品。
さらに、ぬか床のお手入れなどについて相談できる「ぬか床クリニック」といったサポートサービスもあるのだとか。安心してぬか漬けライフをスタートできますね。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
店名:発酵食堂 カモシカ
HP:https://kamoshika.kyoto.jp/
住所:京都市右京区嵯峨天竜寺若宮町17-1
電話:075-748-0186
■発酵カフェ Haccomachi
次は、京の台所“錦市場”近くにお店を構える発酵カフェ「Haccomachi」です。
「発酵に出会う、発酵を楽しむ」をテーマに、発酵食品をつかったフードやドリンクを朝食・ランチタイム・カフェタイムで楽しめるメニューが提供されています。
2020年に、西京漬の老舗「京都一の傳」が監修するカフェとして三条柳馬場で誕生し、なかなか予約の取れない人気店に。その後2022年の11月に今の場所に移転しました。
こちらの人気NO.1メニューは「発酵ごぜん」で、朝食・ランチタイムにいただくことができます。
メニューは以下です。
・はじまりの甘酒
・発酵鰹のおむすび
・焼き味噌のおむすび
・やわらかタンドリーチキン
・京都一の傳 さわら 西京焼
・海老のしょうゆ麹マヨ添え
・バルサミコ酢漬け煮卵
・ごま豆腐 抹茶みそのせ
・さけ 西京焼クリームチーズ和え
・季節野菜のバーニャカウダ アンチョビソース
・べったら漬けのすり流しスープ
・Haccomachi 特製プリン
「はじまりの甘酒」は、スタッフの方手作りの米麹甘酒。300年以上の歴史を誇る種麹屋「菱六」の米麹を使っているのだとか。クセがなくさらりと飲みやすく、筆者の友人も「甘酒好きじゃなかったけど、ここのは好き!」と♪
優しい甘さに癒されます。
「やわらかタンドリーチキン」はお肉がヨーグルトの力で柔らかくなっていて、とてもジューシー。
そして、京都一の傳の西京焼がいただけるのもうれしいですね!クリームチーズとさけ西京焼も、発酵×発酵で、味わいが深い!
「べったら漬けのすり流しスープ」は、甘酒で漬けられたお漬物であるべったら漬けをすりおろして、お出汁と合わせたもの。べったらの程よい甘みがしみじみ美味しく、オープン当初からの変わらない味わいです。
「Haccomachi 特製プリン」の特徴は、みりんとしょうゆを使ったみたらしあん。トロリとしたプリンとのコンビネーションが絶妙なんです。
そして、もう1つのリコメンが移転後にスタートした「発酵クレープ」。
生地に甘酒と発酵バターを使っているので、発酵バターの風味と、甘酒によるふんわりとした甘味が楽しめます。また、米粉を配合しているので、表面はカリッと、中はもっちり食感です。
「バターとお砂糖」「チョコバナナ」などがありますが、筆者のお気に入りは「塩麹キャラメル」です。塩味と麹のコクがキャラメルの味をさらに奥行きのあるものにしていて、ほんのり甘い生地とのバランスが楽しめました。
また、ちょっと珍しいのが「SLT」。実は「西京焼・レタス・トマト」の略で、BLT(ベーコン・レタス・トマト)もあります。生地・西京焼・アンチョビドレッシングが一体となった、ここだけの美味しさです。
テイクアウトもできるので、錦市場での食べ歩きにもぴったり。
ドリンクのおすすめは、自家製甘酒を使った甘酒ラテや甘酒ソーダ。
テイクアウトもできるので、手軽に本格的な甘酒が楽しめますよ。
また、オリジナルドリンクでもう1つご紹介したいのが「果実酢ソーダ」です。
まろやかな酸味が特徴の、京都の老舗 村山造酢の「千鳥酢」を使用。
フルーツの種類は季節により変わり、今まで展開されていたのは、パイナップルやみかん、ぶどう、リンゴなど。
自家製ならではのフルーツのいきいきとした味わいとさっぱりとしたお酢のおいしさをソーダですっきりと楽しめます。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
店名:発酵カフェ Haccomachi
HP:https://haccomachi.jp/
住所:京都市中京区十文字町458-1
電話:075-256-8883
■茶と糀 つきあかり
次のお店は、お茶と糀(こうじ)にこだわったお料理がいただける「茶と糀 つきあかり」です。
市営地下鉄東西線「東山」駅から徒歩約10分のところにあり、ロームシアターや京セラ美術館、平安神宮、岡崎公園なども近いので、イベントとセットで食事が楽しめる立地です。
提供されているのは、糀を使った優しい和食メニュー。
イチオシは、「選べる焼物御膳」です。
鮭や鯛、銀ひらす、鰆、鱧、鶏モモ肉などが、塩糀や糀甘酒×みそなどに漬けられたものから一品選ぶことができます。
それ以外に本日のお造り、小鉢、漬物、豆腐、雑穀米、味噌汁がついている大満足のラインナップ!
筆者がいただいたのは、「鯛」です。
実山椒入りの塩麴に漬けられており、ふっくらとした繊細な鯛の味わいにしっかりとした旨味と実山椒の刺激が加わり、とても上品。ごはんがどんどん進みます!
また、店主自ら仕入れに行っているというお刺身も新鮮そのもの!
漬け込む素材(魚や肉)によって漬け床も変えられています。
例えばさけの場合は塩麴とマスタードをミックスしたものに漬けこまれており、ほど良いコクと酸味がさけの味わいに奥深さを加えています。
バリエーションが豊かだと、何度でも足を運びたくなりますよね。
そして、もう1つおすすめしたいのが「海鮮丼」です。
漬け丼なのですが、京都中央市場で仕入れたお刺身が塩麴や醤油麹が使われた漬け床に漬けこまれ、これもまた旨味たっぷり!新鮮な生魚と麹の組み合わせはいただいたことがなかったので、お刺身をさらに美味しくしてくれる麹パワーに脱帽しました。
このほか、つゆだくの「親子丼」や、動物性食材を使用せずお味噌・糀甘酒を使ったヴィーガンの「糀カレー」もあり、何度でもリピしたくなるラインナップです。
お弁当もあるので、テイクアウトして近くの岡崎公園でのんびりといただくのもいいですね。
さらに、ドリンクも大充実。
「茶と糀」というお名前だけあって、お茶には注目必須です。
「特上かりがねほうじ茶」は、選りすぐりの一番茶の茎部分を焙じたお茶で、香ばしい香りがたまりません。
滋賀県ブランド米の“みずかがみ”を用いた「新米の玄米ほうじ茶」は、玄米とほうじ茶のハーモニーが特徴。
実は店主さんのご実家「マルヨシ近江茶」のお茶なのだとか。
美味しいお茶は気持ちを豊かにしてくれますよね。
加えて、お試しいただきたいのがオリジナルのソフトドリンクです。
米糀甘酒をミルクで割った「ミルク糀甘酒」は、甘酒とミルクが互いの甘味を引き立て合う癒しのドリンク。
「柑橘酵素ジュース」も自家製です。無農薬のゆずやバレンシアレモンを使っており、これらの酵素ジュースを食前に飲むと、消化・吸収をサポートしてくれるそうですよ。
丁寧に作られたお料理とドリンクをいただくことで、体が浄化されたような気分になり、元気をいただきました。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
店名:茶と糀 つきあかり
HP:https://www.instagram.com/tsukiakari2020/
住所:京都市左京区正往寺町462-2 インペリアル岡崎101
電話:075-754-8544
■京の発酵イタリアンCAMOS
次は、発酵とイタリアンを組み合わせたお店です。
京都駅から徒歩約10分のホテルバニスター京都の1Fにあります。
日本だけでなく、世界の発酵食品に目を向けて幅広い発酵食品が採り入れられています。
また、野菜や果物を発酵させオリジナルの食品づくりをし、このレストランでしか味わえないお料理が提供されています。
イチオシのピザは「納豆麹と発酵トマトソース サラダ仕立てのピザ」です。
納豆麹は、その名の通り納豆と麹という発酵食品の最強コンビでできています。
腸内環境を整える働きのある麹菌と納豆菌が含まれていて、しかもそれらの菌のエサとなる食物繊維やオリゴ糖を摂取することもできるため、注目株の食品です。
いただいてみると、体に良いのはもちろんですが、その美味しさに開眼!
もともとコクのある納豆がさらにコク深くなり、ピザ生地と一緒に食べることにより納豆と麹の風味が豊かに広がります。
次にご紹介するのは、「Aランチ」。
以下3品が提供されます。
・本日の前菜3種盛り合わせ
・自家製パテドカンパーニュ
・選べるパスタ or ピザ(ランチメニューからセレクト)
野菜は、京北「はまちえ農園」や大原「ごめす農園」などのものを使用されているということで、しっかりとした味わいの元気なお野菜を楽しむことができました。
パスタには、西京味噌やかんずりやへしこが、ピザには柴漬けや塩麴といった発酵食品も使われ、」「へ~、こういう味なんだ!」と新たな発酵食品との出会いの機会となりました。
グラスワインやノンアルコールのモクテル、「自家製発酵ジンジャーエール」「自家製発酵レモネード」といったオリジナル発酵ソフトドリンクなどドリンクも豊富です。
発酵食のレストランには、ナチュラル系の内装のお店が多い中、こちらはスタイリッシュな空間でテラス席もあります。
デートはもちろん、京都駅から徒歩圏内なので、大人数での集まりやビジネスシーンでも使ってみたいお店です。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
店名:京の発酵イタリアンCAMOS
HP:https://banister.jp/hotel/column/toji-hotel.php
住所:京都市南区大宮通八条上ル大黒町290
電話:075-748-7533
■納豆創作料理 夏豆
続いてご紹介するのは、納豆料理の専門店「夏豆」です。
京阪本線祇園四条駅から南東へ徒歩7、8分。八坂神社や花見小路にもほど近い京都・祇園にあります。
これも納豆なの?!という、驚きつつも納豆をおいしく味わえるメニューが豊富な、全国から納豆フリークが集まるお店です。
店主の夏見さんは、大の納豆好き。「納豆料理のお店を開きたい」という夢を持ち続け、福岡の専門店「納豆家 粘ランド」に弟子入りし、納豆の知識や取り扱い方をしっかり身に着け、こちらのお店のオープンにこぎつけたのだとか。
まずは看板メニュー「名物 五味薬味でたべる納豆飯」をご紹介しましょう。
ごはんに乗っているそぼろは、納豆に粗びき豚と玉ねぎをニンニク・鷹の爪と共に炒め、醤油・砂糖で和風に仕上げたもの。そこに濃い味わいの「濃紅」卵黄をトッピングし、好相性の薬味(かいわれ大根、柴漬け、大葉、ミョウガ、九条ネギ)が添えられています。
どの薬味とも良く合い、納豆って万能!と改めて発見。炒められることで納豆がホクホクとした食感になっていて、ユニークな食感でした。そしてやはりご飯との相性は鉄板ですね。
次のおすすめは「納豆ポテサラ 京の黄金味玉のせ」。
納豆が加わることで、ポテサラのコクが一気にUP!濃厚な味わいが楽しめ、ビールがどんどん進んでしまいます(笑)全く違和感なく、ポテサラをレベルアップさせているこの組み合わせの妙に衝撃を受け、是非自宅でも試してみたいと思うメニューでした。
もう1つのおすすめは「濃厚和風ねばボナーラ」です。
和風だしがしっかり効いていて、そこに卵黄のコク・納豆と生クリームのクリーミーなおいしさの波がやってきます。
混然一体となった初めての美味しさは病み付きになること確定です!
また、代表的なメニューをギュっと凝縮した初めて訪店する人におすすめなのが「夏豆基本コース」で、以下のメニューをいただくことができます。
・カラフル納豆とクラッカー
・二種の納豆食べ比べ
・納豆ポテサラ 京の黄金味玉のせ
・納豆餃子 九条葱と酢胡椒
・明太クリームの納豆オムレツ
・名物 五味薬味でたべる納豆飯
・濃厚和風ねばボナーラ
・ミニ納豆アイス こな納豆がけ
さらに、サラダやパスタのみならず、デザートにまで納豆が!
バニラまたは抹茶アイスに納豆がミックスされた『納豆アイス最中』は、ねばねば食感で、まるでトルコアイス“ドンドルマ”!びよーんと伸びる独特の食感。それとは対照的な最中のカリっと感と、ふりかけられた粉納豆がアクセントになっている、計算しつくされたスイーツでした。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
店名:納豆創作料理 夏豆
HP:https://www.instagram.com/natsumame_/
住所:京都市東山区東大路通東山安井西入ル小松町561-17
電話:075-600-2222
■梅小路醗酵所
最後のお店は、JR梅小路京都西駅徒歩約5分のところに位置する「梅小路醗酵所」です。
梅小路公園内の「ポテル」というホテル内にあり、「京都市水族館」や銭湯「ぽて湯」などユニークな施設が集まっているエリアにあります。
先人たちから引き継がれてきた醗酵の恩恵とも言える麹の楽しみ方を提案すべく、発酵を『かもす』『まなぶ』『のむ』『かう』の4つの角度から発信し、フードやドリンクを提供しています。
このお店の最大の特徴は、店内にガラス張りの麹室があること。
麹室とは、麹造りを行う部屋のことで、麹菌を繁殖させるために高温・多湿で管理されており、温度が約30℃、湿度が約60%に保たれています。
通常、酒蔵等にしかない施設ですが、ここでは定期的に行われる麹作りの過程を見学することができます。
麹室で製造された麹は店頭で販売されており、簡単なレシピも付いているので塩麹や醤油麹などを家庭でもチャレンジできます。
また、糀造りや味噌作り、オリジナル塩麹&醤油麹作りなどのワークショップが開催されているので、気軽に本格的な発酵食品づくりを学ぶことが可能です。
店内には、全国各地の酒蔵やワイナリーから取り寄せたお酒やソフトドリンクがずらりと並びます。
そしてその酒屋の一角でサクッと一杯飲む、角打ちができます。
「本日の日本酒 飲み比べ 4種」といった飲み比べメニューを頼めば、好みの味を探すことも可能ですし、「麹レモンサワー」「本日の梅酒 飲み比べ 3種」など日本酒以外のラインナップも。
また、「甘酒」「甘酒スムージー」「麹クラフトコーラ」といった発酵ドリンクもあります。
加えて、醗酵食品を使った醗酵おつまみもお楽しみのひとつ。
「日替わり醗酵おつまみ」「麹フォカッチャと日替わりディップ」を味わいながら、気になるお酒を味わえる♪
発酵好きにとってはパラダイスのようなお店です!
梅小路醗酵所以外にも、大阪に扇町裏醗酵所、東京に深川醗酵所があり、将来的には47都道府県に醗酵所を作っていきたいのだとか。
日本全国、世界各地で麹をおいしく健康的に楽しむ文化がさらに広がってくれるとありがたいですね。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
店名:梅小路醗酵所
HP: https://hakkojo.com/shop/umekoji/
住所:京都市下京区観喜寺町15 梅小路ポテル京都内
電話:075-744-6557