【3月3日は桃の節句】京都のひな祭りと言えばコレ!他の地域では見られないレアな和菓子とは?

KYOTREAT編集部
お正月・節分が過ぎ、バレンタインも終了。そうなると次の季節行事として思い当たるのはひな祭りですね。ただ、京都ではひな祭りって何か特別なことをしたりするのかな…?と疑問に思う方も多いのではないでしょうか?
そんな今回は、京都のひな祭りに欠かすことのできない和菓子をご紹介していきます。一般にひな祭りでパっと思い浮かぶのは菱餅やひなあられかと思いますが、京都では違いますよ。
そのお菓子がこちら、引千切なんです!

引千切(ひちぎり)の由来

ひちぎりの由来は、平安時代に元日に小児の頭に餅(もち)を戴(いただ)かせて前途を祝う戴餅(いただきもち)という儀式と言われています。この儀式の餅は、丸い餅の中央のくぼみに小豆餡(あん)を載せたものだったとか。
ひちぎりの形状は戴餅に似ており、蓬餅(よもぎもち)を杓子(しゃくし)型にして、真ん中のくぼみに小豆餡が置かれています。杓子型の柄の部分は、「引き千切る」という名前の由来通り、先端は引きちぎられた角のようになっています。

現代の引千切

今では、餅の代わりにこなし(白あんに小麦粉などを混ぜて蒸し、砂糖を加えてもみこなした生地)や求肥などが使われ、白・赤・蓬の三色で杓子をつくり、その上には“餡(あん)”や“きんとん”が乗せられます。
緑、白、桃の3色が選ばれているのには訳が有ります。諸説あるようですが、緑が厄除け(新芽)、白が子孫繁栄(雪)、桃色が魔除け(桃の花)の意味・願いが込められているのだとか。
そういえば菱餅の色もこの3色ですね。
京都の和菓子店は、それらの組み合わせの妙により、オリジナリティを表現しています。

塩芳軒の「引千切」

1882年創業の「塩芳軒」の引千切をご紹介しましょう。今出川駅から徒歩15分程度の西陣エリアにある、朝ドラのモデルになったこともある老舗和菓子店です。

ピンクのこなしには白のきんとん、白のこなしにはピンクのきんとんが、よもぎ入りのこなしには粒あんがあしらわれています。多くの和菓子店では2色展開が多いのですが、こちらは3色。華やかで春めいていますよね。

嘯月の「あこや」

次は、嘯月の「あこや」です。嘯月は、虎屋で修業を積んだ初代が1916年(大正5)に創業した和菓子店。

店頭に作り置きが陳列されているのではなく完全予約制で、できるだけできたてを食べてもらいたいという思いから、受け渡し時間に合わせて商品が仕上げられるのだそうです。

3色のこなし製で、緑のこなしには小豆こしあん、白には小豆粒あん、ピンクには白小豆こしあんが組み合わされています。

こしあんは非常になめらかでキメ細かく、洗練された味わいが口の中に広がっていきます。

粒あんは、小豆の皮の質感が残され、小豆の風味が濃厚。ムチムチもちもちのこなしとの相性抜群!

シェイプはまさにあこや貝を思わせ、お店の個性を感じる一品です。

まとめ

今年は引千切を頂いて、京都らしいひな祭りを過ごしてみてはいかがでしょうか。