突然ですが皆さんはお好きなお酒、ありますか?
東北をはじめとするお米とお水がおいしい地域には日本全国様々な酒どころがありますが、兵庫の灘、広島の西条、そして京都の伏見は「日本の三大酒どころ」と言われているため、京都観光で伏見を訪れる際には日本酒巡りは欠かせません。
実は兵庫や京都は日本の全体の50%以上の生産量を誇るため、有名な銘柄や通をも唸らせる美味しいお酒がこの伏見にも盛り沢山なんです。
そこで今回は、日本を代表する酒どころ「京都・伏見」の酒造についてと、その味を楽しめるスポットをいくつかご紹介させて頂きます。
目次
■そもそも、どうして京都の伏見は酒どころとして有名なのか?
■京都・伏見で知名度の高い酒造と特徴
■伏見でおすすめの日本酒巡りスポット
1.月桂冠大倉記念館
2.藤岡酒造
3.伏水酒蔵小路
4.吟醸酒房 油長
5.おきな屋 北川本家
■まとめ
■そもそも、どうして京都の伏見は酒どころとして有名なのか?
京都の伏見は、日本有数の酒どころとして有名ですよね。酒造りが盛んな京都の伏見には、数多くの酒造があります。
では、どうして京都の伏見は日本酒が有名なのでしょうか。
まず京都の伏見の酒造りがさかんになったのは、立地が大きく関係しています。
伏見は京都市南部に位置しており、南の玄関口として鴨川、桂川、宇治川の3つの河川に沿った平野部があります。
さらに、桃山丘陵や稲荷山といった山並みから構成されており、湧き出る地下水脈が豊富でした。
歴史的には弥生時代にはすでに麹を用いる酒造りが始まっていたそう。安土桃山時代に入ると豊臣秀吉の伏見城築城に伴い街が形成されていき、そのとき日本酒の需要が高まりました。そして伏見港が整備されると、大阪を結ぶ水運の拠点として発展していきます。ここでお酒や原料になる米を運ぶ船が増えていくのです。
これを機に、京都だけでなく大和や大津、大坂などといった水陸交通が繁栄していきました。
多くの旅人や上陸した人がお酒を求めてやって来るようになり、現在の基盤が形成されたのです。
また伏見は良質な水にも恵まれています。酒造りで何より大切なのは「水」です。
日本酒は8割が水でできているので、香りや味わい、水質がお酒の味の決め手に大きく関わります。日本酒はミネラル分が多いと、発酵が早く進み濃厚な味わいになっていくんだそう。伏見は「伏水」と言われたことがあるように、質の高い伏流水が流れています。
これは、カリウムやカルシウムなどといったミネラルをほどよく含む中硬水で、キメ細かくなめらかな水質なのが特徴です。
これにより、ゆっくりと発酵が進むのでまろやかなお酒を作ることができます。
いまでもこの上質な水が湧き続けていることが現在でも日本酒には欠かせない水なのです。
このように土地や水などに恵まれたことが伏見に酒蔵が建ち並ぶ理由だったのです。
現在の京都・伏見には20を超える酒蔵があります。
■京都・伏見で知名度の高い酒造と特徴
「京都には酒蔵が多くある」と言っても、地元の人や日本酒マニアでもない限り、なかなかその詳細は分かりませんよね。
そこでここでは、京都でよく知られている酒造と銘酒をまとめます。
○黄桜株式会社
黄桜株式会社は大正14年の創業。創業者・松本治六郎が家業の清酒製造業より独立したのが経営のきっかけで、カッパのイメージキャラクターは全国的にも親しまれています。
代表的な「黄桜(キザクラ)」や純米大吟醸やスパークリング清酒など、多くの世代に愛されるお酒があります。
住所:京都市伏見区横大路下三栖梶原町53
○株式会社北川本家
株式会社北川本家は明暦3年創業と江戸時代初期から360年以上日本酒を醸し続ける、京都伏見の中でも老舗酒蔵として有名です。
その中でも「富翁(トミオウ)」は、酒造好適米である山田錦を100%使用した純米酒で、飲む人の心まで豊かになるような酒造りをしたいという思いが込められています。
場所:京都市伏見区村上町370-6
○株式会社京姫酒造
大正7年創業の株式会社京姫酒造。敷地内の井戸から湧き出る清水で仕込みんでいるのが特徴で、伏見の名水からソフトな旨口のお酒を造っています。
「山田錦大吟醸匠(タクミ)」は酒造好適米最高峰と言われる山田錦を100%使用しており、おだやかな吟醸香ときめ細かな風味を醸し出した辛口タイプのお酒になっています。
場所:京都市伏見区山崎町368-1
○キンシ正宗株式会社
天明元年創業のキンシ正宗株式会社は昭和52年にはお酒の紙パックを商品化し、業界に先駆けて容器革命をもたらしたと評価された企業です。
「金鵄正宗(キンシマサムネ)」は、明治29年より金鵄勲章にちなんだ銘柄として有名です。
場所:京都市伏見区新町11丁目337-1
○月桂冠株式会社
寛永14年創業の月桂冠株式会社。社名をCMなどで、聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。
勝利と栄光を意味している月桂冠を由来として会社名に名付けられたそう。
「月桂冠(ゲッケイカン)」は、まろやかな味わいと、すっきりとしたあと味が特徴です。
場所:京都市伏見区南浜町247
○齊藤酒造株式会社
明治28年創業の齊藤酒造株式会社。酒どころ伏見を代表する「英勲(エイクン)」は、京都ではどこの居酒屋さんでも見かける日本酒と言えるのではないでしょうか。
英勲は全国新酒鑑評会歴代一位の14年連続金賞を受賞し、第98回南部杜氏自醸清酒鑑評会 純米吟醸酒の部にて、5位入賞且つ優等賞を受賞した名高い日本酒です。
スッキリとした辛口が好きな方には、大変おすすめです。
場所:京都市伏見区横大路三栖山城屋敷町105番地
○招德酒造株式会社
正保2年創業の招德酒造株式会社は、純米酒にこだわり、楽しく美味しいお酒を提供している会社です。
「招德(ショウトク)」は、華やかな香りと繊細な味わいが特徴。使用するお米は農家と契約栽培をしており、原料にもこだわりがあります。
場所:京都市伏見区舞台町16
○宝酒造株式会社
天保13年創業の宝酒造株式会社。
「松竹梅(ショウチクバイ)」はCMなどでも放映されているので、馴染み深い人もいるのではないでしょうか。
松竹梅は、濃厚な味わいが魅力で、のど越しの良さに定評があります。
場所:京都市下京区四条通烏丸東入
○玉乃光酒造株式会社
延宝元年創業の玉乃光酒造株式会社は2023年で創業350年を迎え、いい素材だけを使い、「誠実な酒」を造ることをコンセプトに運営されています。
その中でも大定番なのが「玉乃光(タマノヒカリ)」。米の旨味と切れ味鋭い酸味が効いており、京料理にピッタリだと言われています。
場所:京都市伏見区東堺町545-2
○株式会社豊澤本店
1865~1868年に創業された株式会社豊澤本店。「飲んでいただいた全ての人が楽しく、 そして幸せな気分になれるようなおいしいお酒」をコンセプトに明治初期から酒造業を始めました。
「豊祝(ホウシュク)」が主要銘柄になっており、優しい味わいが特徴です。
場所:京都市伏見区南寝小屋町59
○平和酒造合資会社
延享元年創業の平和酒造合資会社。
「慶長伏見の酒」と「慶長小判」が主な銘柄で、高品質なお酒を手頃な価格で販売しています。
場所:京都市伏見区東組町698
○株式会社増田德兵衞商店
京都伏見で340余年の歴史を誇る古い蔵元の1つ、延宝3年創業の株式会社増田德兵衞商店。
「月の桂(ツキノカツラ)」は、中国の「月中に桂あり 高さ五百丈常に人ありてこれを切る」という古い伝説からつけられました。苦味や渋みはほとんどなく、優しい辛味と米の旨味が凝縮されているので、京料理との相性も抜群です。
場所:京都市伏見区下鳥羽長田町135
○松本酒造株式会社
寛政3年創業の松本酒造株式会社は大正時代に建てられた木造の酒蔵で、今も昔も変わらずに日本酒を造っています。
「桃の滴(モモノシズク)」は、松尾芭蕉の句「我が衣に伏見の桃の雫せよ」にちなみ命名され、丹精込めて仕込まれています。香りはほのかに香る程度で、良い苦味と酸味が特徴的です。
場所:京都市伏見区横大路三栖大黒町7
○都鶴酒造株式会社
昭和45年創業の都鶴酒造株式会社は昔ながらの冬季醸造を行っているのが大きな特徴。12月中旬〜4月初旬の間に1年分の製造をしています。
主要銘柄である「都鶴(ミヤコツル)」は、スッキリとした味わいになっています。
場所:京都市伏見区御駕篭町151
○株式会社山本勘蔵商店
昭和11年創業の株式会社山本勘蔵商店。
昔ながらの伝統を守り続けており、「鷹取(タカトリ)」を代表銘柄としています。
場所:京都市伏見区京町1丁目285
○株式会社山本本家
名水「白菊水」を仕込み水として、300年以上に渡って酒造りに携わってきたのが、延宝5年創業の株式会社山本本家。
「神聖」や「松の翠」がメインの銘柄となっており、伏見の清酒らしい口当たりが魅力です。
場所:京都市伏見区上油掛町36-1
■伏見でおすすめの日本酒巡りスポット
1.月桂冠大倉記念館
まずは伏見を代表する酒蔵「月桂冠」。京都伏見の酒造りの歴史や月桂冠の創造のスピリッツを学べる空間が「月桂冠大倉記念館」です。日本有数の日本酒の産地である伏見で発展した月桂冠の酒造技術について知ることができます。「月桂冠大倉記念館」では、伏見の酒造りの歴史や京都市有形民俗文化財にも指定された酒造用具を予約不要で見学することができます。見学の最後にはロビーのきき酒処で試飲も楽しめますよ!
オススメは「初しぼり新酒 祝米 大吟醸」
おすすめは新酒の時期しか味わえない期間限定の「初しぼり新酒 祝米 大吟醸」。京都府産の祝米を100%使用し、新酒の中でも最初に絞られた「初しぼり」という貴重な日本酒です。これは、酒造りの最初に仕込み、最初に絞ったお酒。少し冷やせば、出来立てのフレッシュな味わいと華やかな香りを堪能できます。
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■月桂冠大倉記念館
HP:https://www.gekkeikan.co.jp/enjoy/museum/
住所:京都市伏見区南浜町247番地
アクセス:近鉄京都線「桃山御陵前駅」下車より徒歩10分程度
2.藤岡酒造
次に紹介するのは、明治時代創業の「藤岡酒造」。藤岡酒造は、明治三十五年十月に建てられました。元々は東山区で酒造業をスタートし、その後、大津や伏見に製造場が設けられました。全ての日本酒を手作りで製造するというこだわりのもと、伏見の名水と良質な米で作られる日本酒は絶品です。
オススメは「蒼空(そうくう)」
藤岡酒造を代表する銘柄「蒼空(そうくう)」は、その名の通りさわやかな吟醸香と柔らかな口当たりが印象的な一本。フレッシュで飲みやすい味わいは、日本酒が初めての女性にもおすすめです。「藤岡酒造」では通年の酒蔵見学は実施していませんが、酒蔵に隣接する「酒蔵Barえん」では、ガラス越しに仕込み蔵を眺めながら出来立ての「蒼空」を楽しむことができます。ここでしか味わえない限定品の「蒼空」を美味しい肴とともに是非堪能してみてください。
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■藤岡酒造
HP:https://www.sookuu.net/
住所:京都府京都市伏見区今町672-1
アクセス: 京阪「伏見桃山駅」下車より徒歩約5分程度
3.伏水酒蔵小路
京阪伏見桃山駅から徒歩4分の場所にある「伏水酒蔵小路」もこの界隈では外せないスポット。ここは伏見の日本酒100銘柄以上が楽しめる「酒蔵」とバラエティに富んだ8つの飲食店が軒を連ねています。さらにこの「伏水酒蔵小路」では出前システムが導入されていて、どの飲食店に入っても他の店舗が提供するお料理や日本酒を注文することができるんです。これならどの店に入ろうか迷ってしまっても安心ですね。
「十八蔵のきき酒セット」 がオススメ
「伏水酒蔵小路」で人気のメニューは、なんと言っても「酒蔵」が提供する「十八蔵のきき酒セット」!伏見にある18の酒蔵からそれぞれ1銘柄ずつセレクトされていて、これを頼めば伏見の酒蔵をまるごと味わうことが出来るんです。利き酒を通してお気に入りの酒蔵を見つけてみてくださいね。
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■伏水酒蔵小路
HP:https://fushimi-sakagura-kouji.com/
住所:京都府京都市伏見区平野町82番2
アクセス:近鉄京都線「桃山御陵前駅」より徒歩7分程度
4.吟醸酒房 油長
こちらは、大手筋商店街にある歴史の深い「吟醸酒房 油長」という酒屋さん。季節限定品など、伏見のお酒を多く取り扱っています。酒屋さんには珍しいバーカウンターを備えており3種類以上の日本酒を注文するとおちょこ1杯ずつの飲み比べができるので、伏見の地酒を飲みくらべてみてはいかがでしょうか。
吟醸酒房 油長のオススメは「伏見地酒の試し呑み」
伏見の全蔵元十八社のお酒を吟醸酒・大吟醸酒を中心に90種程度試し呑みができます。伏見のお酒を飲み比べることで、それぞれの味の魅力を知ることができるでしょう。
またお酒は、その場で販売しているので、気に入ったものがあれば購入も可能です。
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■吟醸酒房 油長
HP:http://aburacho.jp/
住所:京都府京都市伏見区東大手町780
アクセス:近鉄京都線「桃山御陵前駅」下車より徒歩5分程度
5.おきな屋 北川本家
最後にご紹介するのが「おきな屋 北川本家」。日本酒の「富翁」とつきたてのお米の魅力を知ってもらうべく作られた、北川本家直営の店舗となっています。タンクからそのまま瓶に詰める量り売りが人気です。
おきな屋 北川本家のオススメは「富翁 純米大吟醸 山田錦49 720ml」
山田錦のみを丁寧に仕込んだ純米大吟醸酒。京都独自の酵母である「京の琴」を使っており、京都伏見の質の高い天然水で仕込まれています。加熱は1度だけで、フレッシュな味が特徴です。
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■おきな屋 北川本家
HP:https://www.tomio-sake.co.jp/okinaya/
住所:京都府京都市伏見区村上町370-6
アクセス:京阪「伏見桃山駅」下車より徒歩すぐ
■まとめ
12月~3月は美味しい新酒の季節。一年に一度しか楽しめない出来立てのフレッシュな味わいは、日本酒好きな方だけでなく普段あまり日本酒を飲まない方にもおすすめです。「伏見」の酒蔵巡りで、新しい京都の魅力を発見してみてはいかがでしょうか。