女子は誰しもお姫様気分!京都の歴史的ホテルでアフタヌーンティーを

KYOTREAT編集部

「ヌン活」なる言葉ができ、コロナ禍にあっても、アフタヌーンティーを提供するホテルやカフェは予約が取れないほどの賑わいを見せています。
京都にも高額なものからリーズナブルなものまで、様々な趣向を凝らしたアフタヌーンティーがありますが、今回ご紹介するのは、筆者が京都で一番好きな「デザートカフェ長楽館」のアフタヌーンティー。

なぜ素晴らしいのか、その理由をお伝えしていきましょう♪

長楽館とは?

長楽館は、京都市東山区にある円山公園の一角にあります。
明治42年(1909年)、たばこ王として財を成した実業家・村井吉兵衛の別邸として建設されました。

この長楽館には、国内外の賓客をもてなす迎賓館としての役割もあったのだとか。
英国皇太子ウェールズ殿下や米国財閥ロックフェラー、伊藤博文、井上馨、大隈重信といった、教科書で目にしたことのある人物たちがこちらを訪れています。

実は、「長楽館」という命名は伊藤博文によるものです。
「長楽館」が完成した直後に滞在した伊藤博文が、館からの眺めに感動し「この館に遊ばば、其の楽しみやけだし長(とこし)へなり」と詠み、それにちなんで「長楽館」と名付けられたのだとか。
氏が「長楽館」と揮毫した扁額は、今なお長楽館の「喫煙の間」の扉の上に掲げられています。

昭和に入りホテルとして生まれ変わり、宿泊施設の他、レストラン、バー、ブティック、デザートカフェがあります。

長楽館が愛される理由

①空間の素晴らしさ

長楽館が愛され続けている理由の1つ目は、その空間です。
ヨーロッパの様々な建築様式が組み込まれており、建設された当時は東京の鹿鳴館を凌ぐとも言われていました。
瀟洒な館は、多数の家具調度品も含め1986年に京都市指定有形文化財に登録されています。

1階に客室・食堂・球戯室・書斎・サンルーム、2階に貴婦人室・客室・美術室、3階に書院造り風の和室などが配置。中でも、1階客間の暖炉まわりや天井にあしらわれた植物文様のレリーフなど、ルイ15世風(ロココ)様式を基調とした装飾は大変美しく、見応えがあります。

今回はアフタヌーンティーをいただきに訪問したのですが、館内の見学が可能かどうか電話予約時にお尋ねしたところ「1・2階につきましては、他のお客様がご利用になっていないお部屋はご自由にご見学いただけます」と伺いました。実際に1・2階をゆっくりと見て回ることができました。

印象的だったのが、ステンドグラスです。
こちらはなんと、お化粧室なんです。海辺の風景を表現した美しさにうっとり!で思わず撮影してしまいました。

そして、こちらはアフタヌーンティーをいただいた「迎賓の間」です。
エントランスのそばにあるこちらは、現存する日本国内の西洋館では最大規模とのこと。
昔ヨーロッパ諸国で、食後に女性たちがおしゃべりに興じたドローイングルームの流れを汲んでおり、主に女性たちをもてなす部屋として使われていました。

ピンク色を基調としていて、束の間のプリンセス気分を味わうことができます。シャンデリアはなんとバカラ社製という豪華さ!
現在は、アフタヌーンティー専用のスペースとなっており、現代の女性たちに素敵な時間を過ごさせてくれています。

②提供メニューのすばらしさ

空間のみならず、提供されるフードやドリンクのクオリティの高さもお伝えせずにはいられません。
アフタヌーンティーの内容が月替わりで、こちらが筆者が訪れた月のアフタヌーンティーです。

まず、アペリティフをスパークリングワインかノンアルコールスパークリングワインのいずれかから選びます。
そして、紅茶はもちろんポットサービス。
ダージリンやアッサムといったクラシックティー、ローズペタルやアールグレイといったフレーバーティー、ミックスハーブティーなど全部で10種以上もの中から選べ、ブレンドコーヒーもあります。

まずは、館の名称が冠された長楽館ブレンドティーをセレクト。
スリランカ産のブラックティーをベースに、南アフリカ原産のオーガニックハーブ “ハニーブッシュ”を加えることで、自然の甘みと薫りを引き立てられています。
そしてポットやカップにごくさりげなくヘレンドや大倉陶苑のものが使われているのも、さすがです!

そしていよいよフードの登場です!


<1段目:スイーツ>
紅茶ともものムース、ブルーベリータルト、マンゴーとバジルのヴェリーヌ、自家製焼菓子、季節のフルーツ

焼菓子からフルーツまで、味わいや調理法の異なるスイーツがギュッと詰め込まれ、華やかなルックスにもテンションが上がります。ひとつひとつがフルーツなど素材の特徴が活かされた手作り感溢れる美味しさでした♪

<2段目:スコーン>
自家製スコーン2種 クロテッドクリームと自家製ジャムを添えて

スコーンは、プレーンとクランベリーの2種。
ホロホロサクサクと軽い食感で、クロテッドクリーム・自家製ジャムとの相性バッチリでした★
あたたかなスコーンと紅茶の組み合わせは、アフタヌーンティーの醍醐味の1つですよね。

<3皿目:フィンガーフード>
スイートコーンのムースポタージュ、天使海老とズッキーニのケークサレ、七谷地鶏のカプレーゼ風ブルスケッタ、ハムときゅうりのサンドイッチ

ムースポタージュは、泡雪のような滑らかなくちどけとコーンの甘みがたまりません!
サンドイッチはシンプルなだけにクオリティの高さを実感。パンと具材のバランスが良く、プレスの具合いも絶妙で食べやすく仕上がっていました。

最後にオレンジのグラニテをいただき、フィニッシュ!
フードもドリンクもすべてにおいてこだわった結果の産物であることが良―く伝わってきました。
例えば、アペリティフをさほど重視しないアフタヌーンティーも見受けられる中、こちらで提供された「ヴーヴレイ キュヴェ テ」は秀逸でした。


柑橘系や杏、花の香りと共に感じる香りが心地良く、ふくよかな味わいの中の酸味と果実味のバランスが絶妙。黄色いラベルでおなじみの某シャンパン?と思わせる味わいだったので、その後三度ほど自宅にお取り寄せしており、おいしいワインとの出会いをいただいたのでした。

③ホスピタリティのすばらしさ

最後にお伝えしたいのは、そのホスピタリティです。

例えば、コースターには昔のタバコのパッケージデザインが施されており、様々な種類があり、持ち帰ることができます。ちょっとしたことなのですが、この1枚から、この建物を建てた村井氏や、その時代の華やかなりし賓客たちの社交界に思いを馳せたりすることができます。

また、スタッフの方のやわらかな物腰や、お声かけしたいと思った時にすっと来てくださる距離感が絶妙です。
そして、穏やかな笑みをたたえる笑顔も素敵。
ありきたりな表現かもしれませんが、「ホスピタリティってこういうことなんだ」としみじみ実感したのでした。

入口を出た帰り際、「また来たい!」と感じるすばらしい時間。
祇園や八坂神社からも近い京都の中心地にありながら、別世界を訪れたような気分に浸ることができました。
京都観光の折、“文化財で食事をする“という特別な体験をなさってみてはいかがでしょうか?

店名:デザートカフェ長楽館
住所:京都市東山区八坂鳥居前東入円山町 604
TEL:075-353-0298

HP:https://www.chourakukan.co.jp/