5月5日の「こどもの日」が近づくと、和菓子店の店頭には季節を彩る和菓子が並びます。中でも定番なのが「柏餅」ですが、実は柏餅の中身には東西で大きな違いがあることをご存知でしょうか。京都で柏餅を選ぶ際は、ちょっとした豆知識を持っておくと、より一層楽しめるはずです。
この記事では、こどもの日・端午の節句の由来から、京都の柏餅の特徴、そして行列の絶えない人気和菓子店「出町ふたば」の柏餅まで、京都観光メディアとして詳しくご紹介します。
目次
■こどもの日とは?端午の節句とは?
■柏餅とちまき、東西で違う端午の節句の和菓子文化
■京都の柏餅は「味噌あん」がある?
■出町ふたばの柏餅・季節の和菓子
■まとめ
■こどもの日とは?端午の節句とは?
「こどもの日」は、「こどもの人格を重んじ、こどもの幸福をはかるとともに、母に感謝する」ことを趣旨とした国民の祝日で、1948年に制定されました。この日が5月5日に定められた背景には、季節の節目を祝う伝統行事「五節句」のひとつである「端午の節句」との関わりがあります。第二次世界大戦後、新たに祝日を制定するにあたり、国民に馴染みのある文化的な行事の日を選ぶべきだという意見が反映され、古くから男児の成長を祝う日とされてきた端午の節句と、こどもの日が同じ日に定められたと伝えられています。
端午の節句の風習は、もともと奈良時数に中国から伝わったとされ、菖蒲やよもぎなど香りの強い植物で邪気を払う「五節句」の一つとして日本に定着しました。現在も、こいのぼりを揚げたり、五月人形を飾ったり、菖蒲湯に入ったりといった伝統行事が広く行われています。
■柏餅とちまき、東西で違う端午の節句の和菓子文化

端午の節句の和菓子といえば、多くの方が「柏餅」または「ちまき」を思い浮かべるのではないでしょうか。実はこの2つには、東西で異なる文化的背景があります。
ちまきは、奈良時代に端午の節句とともに中国から伝わったとされる、笹の葉などで包んだお団子状のお菓子で、都のあった近畿地方を中心に古くから親しまれてきました。一方、柏餅は江戸時代に江戸(現在の東京)で生まれたとされる、日本独自の和菓子です。柏の葉は、新芽が出るまで古い葉が落ちないという特徴を持つことから、「子孫繁栄」「家系が途切れない」ことの象徴とされ、端午の節句に食べられるようになったと伝えられています。
伝統や上方文化を重んじた関西では、その後もちまきを食べる習わしが受け継がれた一方、東日本や北日本ではちまき文化があまり定着せず、後に柏餅を食べる文化が主流になったといわれています。そのため、現在も「関東は柏餅、関西はちまき」という傾向が見られますが、京都でも柏餅は広く販売されており、端午の節句が近づくと店頭を柏餅とちまきの両方が彩ります。
■京都の柏餅は「味噌あん」がある?

全国的に食べられている柏餅ですが、京都をはじめとする関西の柏餅には、他の地域ではあまり見られない特徴があります。それは、粒あん・こしあんに加えて「味噌あん」の柏餅が販売されていることです。
味噌あんの柏餅は、もともと江戸時代の東日本で誕生したとされ、関東から北の地方でよく食べられてきたと考えられています。関西へはあまり広まらなかったとされる一方、京都の和菓子店では、粒あん・こしあん・味噌あんの3種を揃えて販売するお店が多く見られる、京都ならではの興味深い特徴となっています。
この時期になると各店の店頭に柏餅が並び、味噌あんのものはお餅がピンクや薄い黄色に色付けされていたり、道明寺粉(もち米を蒸して乾燥・粗挽きにした粉)で作られていたりと、お店ごとの個性が表れます。また、柏の葉の巻き方にも意味があり、小豆あんのときは葉を外表(表を外側)に、味噌あんのときは中表(表を内側)に巻くなど、中身の違いを葉の向きで表しているお店もあります。
■出町ふたばの柏餅・季節の和菓子

京都で柏餅を求めるなら、ぜひ訪れたいのが、行列の絶えない人気和菓子店「出町ふたば」です。看板商品「名代 豆餅(まめもち)」を求める客で、平日・休日を問わず長蛇の列ができることで知られています。
出町ふたばは明治32年(1899年)創業の老舗で、看板商品の豆餅は、北海道産の厳選した赤えんどう豆と、十勝産の小豆を使ったこしあんを、羽二重餅のようなやわらかなお餅で包んだ一品。赤えんどう豆の塩気と、上品な甘さのこしあんの組み合わせが絶妙な人気商品です。
季節商品も充実しており、豆餅のイメージが強いお店ですが、水無月(夏越の祓の和菓子)や亥の子餅(初冬の和菓子)、お赤飯なども美味しいと評判で、一年を通して通いたくなる和菓子店です。
端午の節句の時期には、粒あん(よもぎ餅)・こしあん・味噌あんの3種類の柏餅を展開。味噌あんは色味が濃く、味噌の風味と甘みがしっかりと感じられ、中には山椒の風味も加えられているのが特徴です。甘じょっぱさと山椒の香りが、もっちりと弾力のあるお餅とよく合う、他にはない味わいを楽しめます。
また、端午の節句に合わせて販売される「深泥池(みぞろがいけ)ちまき」も見逃せません。洛北・深泥池(上賀茂地区)周辺の女性たちが1本1本手作業で巻き、丁寧に蒸し上げているという、手仕事の温もりが感じられる一品です。
なお、出町ふたばの和菓子はいずれも当日中が賞味期限の目安とされているため、購入後はその日のうちに味わうのがおすすめです。開店直後から行列ができる人気店のため、確実に購入したい場合は開店時間前後の来店が良いでしょう。京都駅のJR伊勢丹や京都高島屋、大丸京都店といった百貨店の京都土産コーナーで取り扱われることもあります。
下鴨神社観光や、鴨川デルタでのひとときのお供に、この季節ならではの柏餅とちまきを味わってみてはいかがでしょうか。
〇出町ふたば
住所:京都市上京区出町通今出川上ル青龍町236
電話:075-231-1658
営業時間:8:30〜17:30
定休日:火曜日・第4水曜日(祝日の場合は翌日、正月休みは長めに設定される場合あり)
アクセス:京阪本線「出町柳駅」5番出口から徒歩約7分(鴨川デルタを渡ってすぐ)
※営業時間や取り扱い商品は変更される場合があるため、おでかけの際は事前に店舗にご確認ください。
■まとめ
京都の柏餅には、粒あん・こしあんに加えて「味噌あん」という選択肢があるのが大きな特徴です。
関西はもともとちまき文化が中心だったとされる中で、味噌あんの柏餅が定着している点は、京都の和菓子文化の奥深さを感じさせてくれます。
端午の節句が近づくシーズンに京都を訪れる際は、行列必至の人気店「出町ふたば」の豆餅や季節の柏餅、深泥池ちまきをぜひ味わってみてください。時間に余裕を持ち、できれば開店前後の時間帯を狙って訪れるのがおすすめです。

